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占領都市ベルリン、生贄たちも夢を見る

いや、すごい。

これ、今年前半のイチおしかも。

米、英、仏、露に分割占領されていた戦後すぐのベルリン。

米軍地区で働くドイツ人女性が同じ手口で次々と殺される。

ドイツ人警部が犯人探しに乗り出すが、

戦争に負け、占領された国側の常として、

占領側である米軍から厳しい制約がかかり、

なかなか思うように捜査が進められない。

そんな困難な中でも敬意を抱いてくれる

米軍警察大尉の協力でなんとか捜査を進め、

ついに犯人の真相にたどりつく。

というのが本筋。

が、なにがすごいって、平行して語られる殺された女性たちの半生。

彼女たちは女優、看護師、男爵令嬢、娼婦と

それぞれ違う人生を送っていたのだが、

最期に米軍で働くことになったいきさつが重厚に語られる。

ヒトラーが政権をとり、台頭してきた時代から

戦局が怪しくなり、敗北し、占領軍が入ってくるまでの

ドイツ社会がつぶさに語られ、

それだけでも十分サスペンスといえるほどの迫力。

日々の生活物資の不足、人々の感情の変化、

ナチスのユダヤ人虐殺、人体実験、優性学研究などの蛮行を

目の当たりにした驚愕などを折り込み、

それでもたくましく生き抜いていく女性たちの描写は

どうして殺しちゃったの、と思うくらい感情移入させられた。

読みごたえのあるすごい小説だった。

戦中ご法度になる書物や、

戦後に入ってくる物資、映画、書物、音楽などの

こともさりげなく語られていて、

庶民の目からみたこの時代がとても興味深い。

悲惨な話なのに、ページをめくる手が止められない。

それぞれの女性たちがどこかで微妙につながっていて、

ちゃんと伏線がはれられているすごくよくできた話。

ピエール・フライ著、浅井晶子訳(長崎出版)

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コメント

GWの旅行でまずはベルリンに行くので今から楽しみです♪

レトロな雰囲気で人気が出ているとか・・・

以前はスパイなんかも暗躍してたんでしょうね~(゚ー゚;

投稿: Nobu | 2010年4月25日 (日) 19時42分

旅行、楽しみですねえ。
ドイツにはもう10年近く行ってませんが、
また行きたい。
やっぱりわたし的には
あのヒトラーが牛耳っていたドイツという
国にひたすら興味があります。

投稿: konohazuku | 2010年4月26日 (月) 13時20分

きのう帰国しました

ベルリンについての短歌も作ったので、
おいおい、写真とともにアップする予定♪

旧東側諸国ってすごいわ!

旅行っていうより社会見学になりますね~

照明の照度が低いっていうか・・・

投稿: Nobu | 2010年5月13日 (木) 13時46分

お帰りなさい。
いかがでしたか。
ヨーロッパはまだアイスランドの
噴火の後遺症があるようですが、
大丈夫でしたか?
帰朝報告を楽しみにしています。

投稿: konohazuku | 2010年5月14日 (金) 18時00分

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