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ファージング三部作(ネタバレあり)

(この作品はまったく予備知識なく読んだ方がおもしろい。

かなりネタバレですので、

未読の方、今月末の読書会に出席される方はご注意願います)

『英雄たちの朝』ファージングⅠ

『暗殺のハムレット』ファージングⅡ

『バッキンガムの光芒』ファージングⅢ

第二次大戦中、イギリスがナチスドイツと

手を結ぶ道を選ぶという仰天設定の、

半分ホントで、半分ウソの歴史改変小説。

何の予備知識もなく読み始めたので、

Ⅰの最後まで、単純にフーダニットものだと思ってた。

殺人の疑いをかけられたユダヤ人は無罪で、

まわりの偏見を覆し、悪人が捕まって、チャンチャンだと思ってた。

事件を捜査する警部補も、おかしいと思っていて、

容疑者が無実である証拠もつかんでいたのに、

(この本における)歴史の波に翻弄され、

意に反する方向へとどんどん歯車が狂っていく。

Ⅰのラストは、正義が正されないまま終わってしまうので、

やっと気がついた。

ヒトラーと仲良くし、ファシズムは正しい、

ユダヤ人など収容所へ送ってしまえという

現代の我々からすれば“誤った”考え方がはびこるイギリスが、

危険なファシスト国家へと突き進んでいく

情勢を描いた歴史サスペンスだと。

もちろん、ヒトラーはじめ、イギリス政府に

反旗を翻す者が出てくる。

Ⅰに出てきた警部補が、表向きお上に従うふりをしながら、

ひそかにユダヤ人を助けたりする展開も自然。

実際に、ヒトラー暗殺計画が何度も練られたように、

こうした抵抗勢力とファシズムとの攻防戦が

頻発するⅡがおもしろい。

ラストは唐突にめでたし、めでたしになってしまった感があり、

だったら、もっと早くそのテを使ったら?という

気がしないでもなかったが、

着想としてはとてもおもしろく、ある意味、虚をつかれた。

我がクイーンの国、イギリスを

ファシスト国家にした設定は許せないが。

ジョー・ウォルトン、茂木健訳(東京創元社)

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コメント

今朝読み終わりました~~~

設定がすごいですね、
結末はたしかに「ダンダン!」って感じで
解決をみたけれど、あれはやはりデビュタントを控えていたエルヴィラのために
用意されていたんだ~と、わりと納得できました。

Ⅲの解説読んで作者の怒りがこの作品を書かせたとありましたけど…
日本でこれだけの作品(歴史改変かつエンタテイメントでなければならない)
書ける人がいるだろか?

思っちまったよ。
あ、いるなら教えてほし~~~

細かい話はまた当日を楽しみに♪

投稿: うなみ | 2010年11月18日 (木) 12時13分

読書会で他の人の意見も聞きたいですね。
Ⅰは途中ちょっとタルかったんですよ。
それとナチスと仲良くなったイギリス政府が
どう関係あるわけ?なんて思ったけど、
あ、そういうこと、と納得しました。

投稿: konohazuku | 2010年11月18日 (木) 21時19分

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