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散るぞ悲しき

至上まれにみるほどの激戦となり、

たかをくくっていた米軍を震撼させた硫黄島の激闘。

その総司令官・栗林忠道と、

名もなき若き兵士たちの最期の日々。

いつも思うが、こういうことは、

華々しく散った、などという簡単な言葉では表すことはできない。

どんな地獄を見たのか、

どれほどの文章をもってしても、書き切れるものではない。

著者の梯さんはこう書いている。

“戦場の死はどれも無残である。

しかし、もし戦死が“名誉ある死”でありえるなら、

彼らのすべてが━━恐怖におののきながら息絶えた者も、

故郷に帰りたいと願いながら無念の最期を遂げた者も━━

名誉ある死と呼ばれるべきあろう。

彼らは自分たちが生きて抵抗しているうちは硫黄島は

落ちたことにならないと信じて、

苦しい生を生き苦しい死を死んだ。

硫黄島では生きることと死ぬことのすべてが戦いだったのである”

始めから生きては帰れないことがわかっていた。

しかも、玉砕も許されず、

なるべく時間稼ぎをして、米軍の本土上陸を

遅らせるためだけが目的だった、まさに見捨てられた島。

玉砕なんて、ひどすぎると思っていた。

しかし、玉砕よりももっと残酷な死があった。

命散る20日ほど前に、大本営宛に打った戦訓電報は

下記のように結ばれていた。

“以上これまでの戦訓等にては到底想像も及ばざる戦闘の

生地獄的なるを以て、泣き言と思わるるも顧みず敢て報告す”

もう、黙ってはおれないという、最大の叫びだろう。

ぜひ、読んで欲しい。

梯久美子著(新潮社)

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