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三浦しをん×鴻巣友季子トークイベント

映画『まほろ駅前多田便利軒』記念イベントとして

町田市民文学館で、

作者のしをんさんと、翻訳家の鴻巣さんの対談があり、

聴きにいってきた。

鴻巣さんは、言葉の選び方にピンとくるものがあって、

昔からけっこうファンなので、この対談、けっこう期待してた。

鴻巣さんのリードで、『まほろ~』中心に話が進んだ。

着想はどこからわいたのか、

多田や行天のネーミングはどうして決めたとか、

しをんさんの町田でのおいたちなど

土地勘があるせいもあってか

とても楽しくて興味深く、時間を忘れるほどの内容だった。

特に穏やかなしをんさんが、自分のダークな部分について

明確にしたわけではないけれど、

ふと口にした時の、微妙に苦渋のような表情が興味をひいた。

作家って、普通の人が何気に通り過ぎてしまうものを

ことさら感じてしまう人たちだからなのだろう。

『まほろ』もそうなのだけど、お決まりの人情もの、

ハッピーエンド、“みんなで頑張りましょう”的なノリに

したくなかったという話には、はっとした。

人生って甘くないんだよ、辛いんだよ、

どんなに頑張ったってダメな奴はダメだし、

気安くきれいごとなんか言えない。

でもどこかに希望の光を残しつつ、

ダメだとわかっていても、それでもやる、

登場人物の美学みたいな感覚という言葉には

大いに納得した。

まさに今自分がそういう状態だから、かもね。

鴻巣さんも言っていたけど、

絶妙な文章(訳文)が浮かんでくるという時は、

まるで、神の啓示のように

音声で聞こえてくるという話にも唸った。

日本の作品を英訳することについて、

いわゆるその言語を“習った人”ではなく、

生まれた時からその言葉を母語とするネイティブが

訳すのが望ましいという話にも大いに頷いた。

文学作品の文章のニュアンスやテイストを感じ、

理解することはできても、

その国の言語で正確に伝えるのが、いかに難しいことか、

単に日常会話ができます、読めますというだけでは到達できない、

翻訳者としての苦悩、そして醍醐味がよくわかる。

大変に有意義な時間だった。

どこかで見た顔だとおもったら、片岡義男が来ていた。

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