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遥かなる未踏峰

世界最高峰であるエベレスト、

チベット語ではチョモランマ初登頂に成功したのは、

1953年、ニュージーランド出身のエドモンド・ヒラリーと

シェルパのテンジン・ノルゲイということになっている。

しかし、それを遡ること1924年、

イギリス人登山家、ジョージ・マロリーが、

サンディ・アーヴィングと共に頂上にアタックし、

そのままふたりとも行方不明になった。

その史実を元に、あのお騒がせジェフリー・アーチャーが

フィクションとして書いたもの。

ふたりが姿を消して75年の時を経た1999年、

8000m付近で、屍蝋化した滑落遺体が見つかり、

所持品からジョージ・マロリーと判明した。

この75年の間、マロリーとアーヴィングが

登頂に成功していたのか、

それとも頂に到達する前に落ちたのか、

誰にもわからず、論争が続いていた。

成功していたのなら、初登頂の栄誉は

ヒラリーとノルゲイではく、マロリーとアーヴィングに与えられる。

現在でも、真相はわからない。

まず、登頂した証拠がない。

カメラが見つかっていないし、アーヴィングの遺体も

いまだに見つからない。

だが、頂に到着したら、置いてくると約束していた

マロリーの最愛の妻ルースの写真がなかった。

75年もの間、他の所持品はマロリーと共に眠っていたというのに。

ということは、写真を頂上に置いてきたのではないか?

しかし、登頂成功というのは、生きて帰ってくるところまでを含む。

仮に成功していたとしても、やはり歴史の記録は

ヒラリーたちということになるのだろう。

約100年近くも前の登山など、想像もつかない。

ウェアだって、ザイルその他の装備だって、

遥かに機能の優れた現在のものとは比べものにならない。

ただのツイードのジャケットに、毛糸の手袋やマフラー、

登山靴のアイゼンだって、鋲を留めただけ。

3000mを超えただけで、空気が薄くなるのがわかるのだ。

あらゆる装備の整った現在でさえ厳しいのに、

前人未到で、ルートもわからない巨大な山を

制覇するのは到底ムリではないか、とも思われる。

しかし、彼が類まれな登山技術をもつクライマーだったことは確かだ。

そして、なくなっていた奥さんの写真。

個人的には、彼は成功していたと信じたい。

二度と会えないかもしれないと思いつつ、

夫の夢をつぶさない妻の苦悩など、

フィクションならではの臨場感があり、とても感情移入した。

現在はほとんどの関係者が鬼籍に入っているが、

孫のジョージ・マロリー二世が、

1995年にエベレスト頂上に祖父母の写真を置いてきている。

ぐっときた。

ジェフリー・アーチャー、戸田裕之訳(新潮文庫)

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マロリーの遺体発見記『そして謎は残った』と共に読むと

さらにおもしろい。

ヨッヘン・ヘムレブ、エリック・サイモンスン、ラリー・ジョンソン、

海津正彦、高津幸枝訳(文藝春秋)

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