どくとるマンボウ航海記
先日亡くなった杜さんの本。
大ヒットしたから、もうおなじみでしょう。
やっぱりおもしろいねえ。
もう50年以上前の船出の話で、
立ち寄る外国の国々や、通貨、
その他のこともだいぶ古い話なのだけど、
なぜか、とても新鮮なのだ。
今だったら、おそらく活字にしないだろう
禁止用語も満載で、それが却って小気味いい。
本当に自分が船に乗って、
陽気だったり、陰鬱だったりする外国の港町に
降り立っている気がする。
陳腐な言葉で言うと、とてもロマンあふれてる。
どちらかというと山派だが、
海の旅情、海のぶきみさには、切なく惹かれる。
まだ誰も知らない航路をたどった先人たちは、
どういう思いで、荒海に乗り出したのだろう。
“彼らの前には迷信に包まれた暗黒だけ”というのは
まさにそのと通り。
何がいるかもわからない、死ぬかもしれない、
でも見てみたい。
たぶん実際には、怖くて行かないけど、死ぬほど共感できる。
うまく言えないが、
すうっと胸が落ちていくような感覚。
この本を読んでいると、
怖いけれど、惹きつけられて、吸い込まれていくような
別世界に連れて行ってもらえる。
北杜夫(中公文庫)
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コメント
北杜夫って誰でも一時期はまると聞いていて、やはり自分も高一ぐらいのときにはまりました(そして友人もはまってた(笑))
何かの短編で「牧神の午後」を取り上げてたのをきっかけにドビッシーやラベル聞いたりしたのもなつかしいです
もう一度読んでみたいなぁ~♡
投稿: Nobu | 2011年11月18日 (金) 00時29分
ずっと前に読んだはずなんですが、
読み直してみて、かなり新鮮でした。
世俗の諸々がバカバカしく思えるほど。
投稿: konohazuku | 2011年11月19日 (土) 12時15分