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毒の目覚め

イギリスのとある村で獣医をしているクララ・ベニング。

村で蛇の毒による死亡事件が相次ぎ、

本来ならいるはずのない猛毒蛇の存在に

静かな村が震撼とする。

動物の専門家であるクララは

蛇の捕獲に走り、意見を求められたりするうちに、

事件に首を突っ込むはめになるが、

そこには、50年前の忌まわしい事件が絡んでいた。

いやあ、面白いです。

忌み嫌われ恐れられると同時に、

神聖なものとして崇められる存在でもある蛇の神秘性と、

ホラーじゃないのに、ホラーテイスト満載の

情景描写がとても気に入った。

廃屋に忍び込む場面など、

何が出てくるわけでもないのに十分にホラーチックで、

わくわくする。

クララはひと目を避けるように、村に引きこもっているのだけど、

なるべく人に会わないように、早朝か夜にジョギングする

なんていうくだりも、心情的にとてもよくわかる。

ああ、こういう思いは私だけじゃないんだと安心させてくれるような。

といっても、クララの場合はショックングな過去のせいで、

閉鎖的な性格になってしまってるわけだけど。

教会の墓地を歩くのが好き、なんていうのも

印象的だった。

そんなクラい彼女に、ちらほら男が寄ってくる場面も、

完璧な男女ばかりが登場するハーレクインロマンスとは

まるで違う、微妙な心の機微が感じられて、

魅力のひとつになっている。

田舎の村に垂れ込める重苦しい影が、

全体的にとても効果的で、次は何が起こるのか期待?感が

止まらない。ゴシックもの好きなら、気に入るのでは?

S・J・ボルトン、法村里絵訳(創元推理文庫)

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ジャケもゴシック風でなかなかいい。

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